みなさん「全巻一冊」というデバイスをご存知でしょうか。
最近はスマートフォンやタブレットなどで電子書籍を読む人が増えましたが
「あんなもん邪道だ!!」とか
「紙の質感がないと読む気がしない」とか
「人に貸し借りできないからいやだ」とか
紙の書籍に親しんだ方々からいろんな意見でていますよね。
そんな意見により登場したのが紙の書籍と電子書籍の良いところを取り入れて開発された
「全巻一冊」というデバイスです。
今回は実際に「銀座 蔦屋書店」に行ってこの新しいデバイスを触ってきましたので、「全巻一冊」の特徴を紹介しつつ、紙のコミック本やKindle本で全巻あつめた場合との価格比較を行ってみたいと思います。
目次
全巻一冊とは
このデバイスは、2017年9月にクラウドファンディングKickstarterで登場以来、多くの支援により作られました。
紙の本と同じ手触りとなるよう作られており、本を開くと電源が入り本を閉じると電源がオフになります。
本当に本物の紙でできた本のような使い方です。
また、見開きで本を読むことができ、コンテンツはカセット(SDメモリーカード)を差し替えることで切り替えることができます。
写真の上部がカセットスロット(SDカードスロット)です。ここに作品カセットを差し込みます。
全巻一冊の主な特徴
全巻一冊の特徴をまとめると以下の通りです。
- 紙の本と同じ手触り・佇まい
- 紙の本と同じ直感的な操作で電源オン・オフが切り替えられる
- カセット(SDメモリーカード)を切り替えることでコンテンツを切り替えできる
- 必要な電源は単4電池×4本
- 紙の本と違い1冊のスペースで全巻を読める
「紙の手触りがないとダメ!」という方にも是非、手に取ってもらいたいですね。
しっかり紙の質感が再現されています。
電池は単4電池×4本で動作します。充電忘れの心配はなく旅行先とかでも買えるので安心です。
友だちと貸し借りできるのがすごい!!
Kindleなどの電子書籍のデバイスと大きく異なる点として「カセットを人と貸し借りできる」という点があります。
Kindle本はDRM(Digital Rights Management)によるデータ保護が掛けられているため通常複製ができません。
家族内であれば複数の端末(最大6台)まで同一コンテンツの取得ができますので、家族内で複数端末を持っていればシェアができますが友人間での貸し借りとなればそうもいきません。
一方で全巻一冊の場合、カセット(SDカード)を貸し借りできるので紙の本と同じようにシェアすることができます。
紙の本の便利なところをしっかり取り入れていますね。
電子書籍の利点も取り入れています
一部の作品ではセリフの表示を英語と日本語で切り替える機能があり、「英読」などをやられている方の英語の勉強に便利です。
北斗の拳の「ヒャッハー汚物は消毒だー!」とか「お前のようなババアがいるか」とかいったどんな風に訳されているのかすごく気になります。
当然ながら全巻が1つのデバイスで読めるため紙の本のように場所を取らないのがおおきな利点ですね。
1冊で全巻を構成していますので持ち運びも1冊の本を持っていくだけです。
長距離での移動があるときとかに便利ですね。
全巻一冊のコンテンツ
現在、全12コンテンツあります。今後は、更に「DEATH NOTE」など6タイトルが追加されます。
2019年には50タイトルの発売を目指すとのことで勢いがすごいです。
作品名 | 内容 | 価格(税込) | 備考 |
---|---|---|---|
頭文字D | 全48巻 | 31,104円 | |
沈黙の艦隊 | 全32巻 | 20,736円 | |
静かなるドン | 全108巻 | 25,704円 | |
無用ノ介・サバイバル | 全8巻 + 全7巻 | 12,096円 | |
アカギの生涯 | 全36巻(アカギ) + 全18巻(天) | 23,328円 | |
ジパング | 全43巻 | 27,864円 | |
CITY HUNTER | 全32巻+読切り2話 | 21,276円 | |
ミナミの帝王 | 100巻+特別版3巻 | 10,800円 | |
沈黙の艦隊+ジパング | 全75巻 | 40,500円 | |
北斗の拳 | 全18巻+読切り1話 | 16,524円 | |
NARUTO-ナルト- | 全72巻+外伝1巻+プレミアム6作品 | 29,581円 | |
銀牙伝説WEEDウィード&オリオン | 全90巻+外伝1巻+スピンオフ2作品 | 10,800円 |
詳細は、「T-SITE SHOPPING」のページでご確認いただけます。
全巻一冊デバイス本体の購入について
全巻一冊の作品を楽しむためにはカセット(SDカード)とは別にデバイス本体が必要です。
デバイス本体は以下のリンク先から購入することができます。
- 全巻一冊デバイス本体
- 「NARUTO -ナルト-」+全巻一冊デバイス本体 同梱パッケージ
- 「頭文字D」+全巻一冊デバイス本体 同梱パッケージ
- 「沈黙の艦隊」+全巻一冊デバイス本体 同梱パッケージ
- 「ジパング」+全巻一冊デバイス本体 同梱パッケージ
デバイス自体の価格については正直、すこし値段が高い印象です。
ただし、カセットとデバイス本体がセットとなった同梱パッケージであればデバイス代が約1万円~1万4千円ぐらいで手に入りますので、絶対に同梱パッケージがオトクです。
初回購入特典のようなものですので、必ずカセットとセットになっているものを選びましょう。
全巻一冊デバイス本体とコンテンツの購入方法
実際に実物を目で見て買いたい方は以下の店舗で購入できます。
わたしも気になって「銀座 蔦屋書店」に行ってみましたが、スターバックスのドリンクを飲みながらゆったりと本を楽しめる空間がつくられていてかなりステキなところでした。
Kindle本や紙のコミック本との価格比較
もちろん単純に金額で比較できないところもありますが、全巻あつめた場合の金額の違いについて、一部作品ではありますが比較してみました。
販売価格は本記事更新(2018年9月27日)時点のものです。
本の書籍は「新品」を対象としてネット上で買えるショップ(Amazon、楽天ブックス等)で調べています。
電子書籍を読むためのデバイス本体価格(Kindile、iPad、Fire7、全巻一冊本体など)を入れると比較ができませんので単純にコンテンツでの料金比較です。
ただし全巻一冊の場合は英語・日本語の言語対応や、読切りや外伝など追加分もありますので純粋な比較ができない点をご理解ください。
作品名 | 全巻一冊 | 紙コミック | Kindle本 |
---|---|---|---|
CITY HUNTER | 21,276円 | 14,861円 | 18,656円 |
ミナミの帝王 | 10,800円 | 53,500円 | 42,446円 |
沈黙の艦隊+ジパング | 40,500円 | 36,750円 | 40,500円 |
北斗の拳 | 16,524円 | 23,963円 | 15,158円 |
NARUTO-ナルト- | 29,581円 | 30,682円 | 29,173円 |
銀牙伝説WEEDウィード&オリオン | 10,800円 | 52,396円 | 39,136円 |
※1 価格はすべて税込み価格です。
※2 紙コミックのミナミの帝王はAmazonより1巻の単価535円を100冊分で計算しました。
※3 紙コミックの沈黙の艦隊は楽天ブックスを参照、ジパングは漫画全巻ドットコム参照しています。
※4 Kindle本は[まとめ買い]の金額を参照、NARUTOはモノクロ版を集計しました。
※5 Kindle本の銀牙伝説WEEDは1巻の単価389円を60冊分+[まとめ買い] 銀牙伝説WEEDオリオンの金額を集計しました。
まとめ
一部の作品では全巻一冊で読むのがオトクな作品もあることがわかりますね!!
ただしデバイス本体の価格も考慮する必要があります。
希望を言わせてもらえればKindle本も読めるようになったりPDFなど、電子書籍を自分で自作したデータについても対応してもらえるとデバイスを購入した意義がかなり高まるような気がします。
とはいえ「全巻一冊」は電子書籍の良い点である「場所を取らない」という点と紙の本の良い点である「読みやすい」、「貸し借りできる」といった特性があります。
単純な価格だけの比較でみるのではなく、自分のライフスタイルや本に対する考え方といったところも含めて総合的に選ぶのが良いでしょう。
わたしの場合、本当は紙の本が好きなんですが、自分の部屋が本だらけになってしまっている現状のため、紙の本はできる限り増やさないように心がけています。
そんな具合に「紙の本が良いけど場所を食うからなぁ・・・」って思っている方には「全巻一冊」がピッタリな製品なのではないでしょうか。
さらにまとめ
紙のコミックの大きな利点は中古市場が確立できているという点も大きいです。
ブックオフのような店舗があり発売から時間が経った本であれば1/5程度の値段で買うこともできます。
今回はすべて「新品」で買った場合を前提として比べてみましたが、本当に比較するのであれば紙のコミックに対する中古の販売価格を無視することはできません。
実際にAmazonで価格を調べていると以下のように中古市場ではかなりの格安で販売されている状態です。
もっともっとこの「全巻一冊」が世の中に普及して、ファミコンのカセットレベルで借りパク(笑)されるぐらいになれば中古市場にも全巻一冊用のコンテンツが多数出回る可能性がありますね。
デジタルコンテンツは劣化しないため賛否両論があるかもしれませんが、それを言ったらTVゲームのソフトや映画などのDVDも同じですので今後、さらに普及して中古市場にデジタル書籍のコンテンツが出回ることを期待したいと思っています。
もちろん、中古を売り買いする場合でも一定のマージンが著作者に入るようなシステムが望ましいと思いますので、叶うのであればこれから先、全巻一冊を販売されている「プログレス・テクノロジーズ株式会社」さんが中古カセットの買い取りや中古販売をおこなう仕組みを立ち上げて、中古市場についても著作者の権利を守りつつコントロールしていただくことを期待したいですね。
購入を検討される際の参考になればありがたいです。
ではまた。